ITの業界は非常に伸びている業界です。そんな中で、新しくIT業界へチャレンジしたい方やIT業界へ就職・転職したいと考えている方も多いかと思います。
ITパスポートは、これまでITに関する知識が無く、これからITの知識を身につけたいといった方にぴったりな資格となっています。そこで本記事では、ITパスポートはどういった資格なのか、取得のメリット、合格するためのポイントなどについて解説していきます。
ITパスポートとは
ITパスポートとは、ITを活用する全ての社会人や学生がITに関する基礎的な知識を証明するための国家資格です。
ITパスポートは情報技術者試験の中で最も難易度の低い試験となっており、IT未経験の方などに初めのステップとして取得される資格です。
IT業界の需要は近年とても高まっており、業界に関わらずITシステムを活用して業務の効率化を図る企業も増加しています。そのため、事務や生産、文系理系問わずITの基礎知識を持ち合わせている必要があります。
ITパスポートの目的
ITパスポートはITに対する理解を深め、ITを業務に効率的かつ効果的に活用するためのIT力を身につけることや、学生などがITパスポートを取得することで就職やキャリアの選択肢を増やすことを目的としています。
ITパスポートでは、経営全般(経営戦略、法務、財務など)に関する知識や、最新技術(IoT、AI、ビッグデータ)に関する知識、テクノロジー(ネットワーク、セキュリティ)に関する知識といった幅広い分野の知識を習得することができます。
受講者数は?
ITパスポートの受講者数は情報技術者試験の中で最も多く、年間24万人を超える受講者がいます。また、累計応募者数も年々増えており、その中でも若年層の社会人にとても需要のある資格となっています。
ITパスポートの合格条件
合格点
ITパスポート試験に合格するためには、総合評価点1000点満点中の600点以上を得点する必要があります。また、各出題分野においてもそれぞれ300点を超える点数を得点しなければいけません。
- ストラテジ系 300点以上/1000点満点
- マネジメント系 300点以上/1000点満点
- テクノロジ系 300点以上/1000点満点
合格率
ITパスポートの合格率は50%ほどとなっています。他の情報技術者試験と比較すると合格率は高めであるため、しっかりと対策をすることでIT初心者の方でも合格できる資格となっています。
ITパスポートの試験概要
1.ITパスポートの試験時間・出題数・出題形式
- 試験時間:120分
- 出題数:100問題
- 出題形式:四肢択一式
ITパスポートの試験時間、出題数、出題形式は上記のようになります。
基本的には選択問題となっており、比較的スムーズに回答を進めることができるため、余った時間は見直しを忘れずに行いましょう。また、計算問題も出題されるため、時間配分を気をつけながら解き進めるようにしましょう。
2.ITパスポートの出題分野
ITパスポート試験で出題される分野には、次のような分野が含まれています。
ストラテジ系
ストラテジ系の分野では、「企業と法務」「経営戦略」「システム戦略」の3つの項目から構成される、経営全般に関する問題が出題されます。また、35問程度の問題が出題されるため、ITパスポートの出題分野の中では2番目に出題数が多い分野となっています。
マネジメント系
マネジメント系の分野では「開発技術」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」の3つの項目から構成される、マネジメント全般に関する問題が出題されます。
20問程度の問題が出題され、ITパスポートの出題分野の中では最も出題数が少ない分野ですが、計算が必要となる問題もあるためきちんと対策をしておきましょう。
テクノロジ系
テクノロジ系の分野では「基礎理論」「コンピュータシステム」「技術要素」の3つの項目から構成されるコンピューター全般に関する問題が出題されます。
40問程度の問題が出題されるため、ITパスポートの出題分野の中では1番出題数が多い分野となっています。
3.試験方式
ITパスポート試験では、CBT(Compute Based Testing)方式を採用しています。これは、用意されているPCの画面に表示される試験問題を、マウスやキーボードを使って回答していく方式となっています。
4.受験条件と受験費用
ITパスポートは誰でも受験することができるため、受験するための条件などは特にありません。また、受験費用は7,500円(消費税込み)で受験することができます。
ITパスポートで習得できる知識とメリット
ITは日常生活やビジネスの場面で多く活用されています。そのため、IT技術者だけでなく業種問わずITに関する基礎知識を持っている必要があります。
1.試験を通して広い基礎知識を習得できる
ITパスポート試験では、資格学習を通してITに関する知識の方にさまざま知識を習得することができます。
情報モラルやセキュリティに関する理解
ITパスポートでは、情報セキュリティや情報モラルに関する知識を習得することができます。
社内システムやインターネットを利用する際に起こりうる、情報漏洩やウイルス感染などのリスクに関する知識を身につけることで、ITを活用する上で注意するべきことや多くのリスクに対する対策などを理解することができます。
法令遵守やコンプライアンスに関する理解
法令遵守やコンプライアンスに関する知識を習得することもできます。
著作権や知的財産権といった法律に関する知識や、コンプライアンスに関する知識を身につけることで、法令違反やコンプライアンス違反などを理解することができます。
経営全般に関する理解
経営や財務といった経営全般に関する知識を習得することができます。
社会人として習得しておくべき経営全般に関する知識や、損益分岐分析・財務諸表についての知識を身につけることで、ITを活用した課題解決や業務改善などを理解することができます。
業務に関するITの基礎知識
業務に関するITの基礎的な知識を習得することもできます。
社内ネットワークの仕組みやデータベース、情報システムに関する知識を身につけることで、社内やクライアント、情報システム部門などと円滑なコミュニケーションを図ることができるようになり、ビジネスに役立つスキルを習得することができます。
2.就職や転職、進学などに役立つ国家資格
ITを活用する企業が増えている中、IT知識を持った人材を求めている企業も多くなっています。そのため、ITパスポートは新しいキャリアやキャリアアップを目指す人に向いている資格となっています。
就職や転職における自己アピールになる
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を証明することができる国家資格です。そのため、新しくIT業界へ就職や転職をしたい方に向いている資格となっています。また、自身の目に見える実績としても履歴書などでアピールすることができます。
多数の大学でITパスポートを推奨している
全国的にITパスポートの取得を推奨している大学も増えてきています。
ITパスポートを取得することで、大学の入試や単位取得が優遇され、入試において優遇措置を行っている大学は200以上もあります。
ITパスポートの試験難易度は?
ITパスポートの試験難易度はそれほど高くないと言えます。
ITパスポート試験は、情報技術者試験の中で最も簡単な初級のレベルに位置付けられており、近年の合格率は50%前後となっています。また、最年少の合格者は7歳です。
ITパスポート試験に合格するための学習方法
参考書で勉強する
資格学習の方法として、参考書を使用して勉強する方法があります。
参考書を利用して学習することで、体系的に学習することができます。そのため、正しい順序で学ぶことができ、図やイラストを多く活用している参考書も多くあるため、コストパフォーマンスの良い学習方法となります。
学習サイトや無料アプリを活用する
ITパスポートの勉強方法として、学習サイトや無料アプリを活用して学ぶ方法があります。
学習サイトや無料アプリで学習することで、場所や時間に縛られることなく、好きなタイミングで学習するこが可能です。その反面、サイトやアプリが更新されなくなると、情報が古くなってしまうこともあるため、定期的に更新されているサービスを利用する必要があります。
単語帳で用語を覚える
単語帳は専門用語や頻出用語を覚えるのに最適です。
ITパスポートでは「ROE(自己資本利益率)」や「ROI(投下資本利益率)」、「コアコンピタンス」や「アライアンス」といった、専門的な用語が多く出題されます。
これらの用語をしっかりと理解するために、独自で単語帳を作成してみることもおすすめの学習方法と言えます。
過去問を解く
これまでの過去問を解くことも最適な学習方法です。
過去問を活用することで、現在の自分の実力を測ることができ、出題傾向から最適な対策を行うことも可能です。また、これまでと同じ形式の問題が出題されることもあるため、ITパスポートの学習に限らずメリットの多い学習方法となります。
ITパスポートに合格するためのポイント
頻出される問題を押さえる
ITパスポート試験では、頻繁に出題される問題などがあります。過去問を解いていくことで、これらの頻出する問題にはどのようなものがあるのかを把握することができ、要点を押さえて学習することができます。
ITパスポートの過去問は、多くのWebサイトや書籍などで学習することができるため、受験する前に必ず着手しておくことが大切です。
用語を理解する
問題を正しく理解するためには、ITパスポートで登場する専門的な用語の意味をきちんと理解しておく必要があります。
登場する専門用語は、回答だけではなく問題文の中にも多く登場するため、問題を正確に読み解くためにも専門用語をきちんと理解した状態で受験するようにしましょう。
また、覚える用語がとても多いため、出題頻度と照らし合わせて覚える用語の順番を決めて学習してみても良いでしょう。
計算問題を解けるようにする
ITパスポートでは、計算問題が必ずといって良いほど出題されます。
計算問題は全体の6%〜10%程度の割合で出題され、全て捨てても合格することはできますが、それはおすすめできません。
なぜかというと、ITパスポートの計算問題は比較的簡単なものも多く、初めから捨ててしまうのはとても勿体無いことだからです。また、毎年出題されるものもあるため、対策を取りやすいといったこともあります。
中学生レベルの計算能力があれば解ける問題も多く出題されるため、計算問題はなるべく解けるように対策しておくことをおすすめします。
ITパスポートの学習時間
ITパスポートでは、全く知識がない人が合格するために必要な学習時間は100時間程度と言われています。また、期間にすると約3ヵ月程度が目安となります。
これは、ITに関する知識が全くない場合、学習する際に解説で使われている用語や説明を理解することに時間がかかったり、基礎的な理解を深めるためにこのような学習時間が必要と言われています。
一方、IT関係の職種で働いていたり、ITに関する基礎知識がある人は1ヶ月程度の学習期間で合格を目指すことができます。
理解のスピードや覚える早さは人によって異なるため、自分にあった学習方法で勉強していくことが大切です。
ITパスポートの試験の流れ
1.利用者IDの登録
ITパスポートの「受験申し込み」ページから、希望する利用者IDと受信可能なメールアドレスを登録します。
登録することで、そのメールアドレスに対して「利用者ID」と「仮パスワード」が通知されます。また、仮パスワードは通知されてから2時間以内に利用者の情報登録が完了されない場合に、利用者IDが無効となってしまうため注意しましょう。
2.受験申し込み
発行された利用者IDを使ってログインした後に、「試験会場」「試験日」「受講手数料支払方法」を決定します。
受講手数料支払方法では、クレジットやコンビニ支払いなど、どのような方法で支払うのかを選択することができます。
また、確認票をダウンロードして印刷したものを持参しましょう。確認票を印刷できない場合には「受験番号」「利用者ID」「確認コード」の3点を控えて持参しましょう。
3.受験と合格発表
受験会場での受付の際には、確認票と本人確認書類を提示する必要があります。本人確認書類は顔写真付きで有効期限内のものである必要があります。
また、受験後の合格確認は翌月の中旬に確認することができます。
まとめ
本記事ではITパスポートについて解説しました。
ITはさまざまな業種で活用されるようになっているため、ITに関する知識を持っている人材の需要は増加している傾向にあります。そのため、これからIT業界に参入したい方や新しいキャリアを目指したい方にとって、ITパスポートはとても役に立つ資格だと言えます。
これからの新しいステップアップとして、ITパスポートに興味を持った方に参考にしていただければ幸いです。
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